新卒で株式会社HERPに入社(?)します & アルバイト・インターンでお世話になった企業へのお礼

tl; dr

  • 3月に大学学士課程を卒業予定ですが、卒業後は大学院博士前期課程には進学せず、新卒で株式会社 HERP という会社に入社します
    • 今もパートタイムで働いているので、フルタイム契約になるという表現がより正しいです
  • このタイミングで、これまで(高校・大学在学中)に私を受け入れてくださった企業の皆様に改めて感謝を申し上げます
    • 株式会社フューチャースタンダード
    • 株式会社 eureka
    • 株式会社はてな
    • 株式会社カブク
    • トゥギャッター株式会社
    • そして、株式会社 HERP

この記事の対象読者

  • e_ntyo の知り合い
    • 特に、「e_ntyo じゃん、最近こいつは何をやっていたんだ?」という状況の方
      • 私がここ数年間何をしていたか、これからどこで何をするのかがわかります
  • ソフトウェアエンジニアのインターンやアルバイトを受け入れている会社をお探しの方(大学・専門学校の学生?)
    • この記事の後半では、私が学生時代にお世話になった企業をまとめて紹介します
      • 現在アルバイトやインターンを募集しているかについても触れていきます
      • Web サービスつくりたいぜ!となった人が、その後自分で Web サービスが作れるようになるまでに、どういった企業でどういう仕事をしていったか、の一例として参考になればと思います

学生時代にインターン・アルバイト等でお世話になった企業へのお礼

大学卒業後の進路として、大学院博士前期課程への進学と企業への就職とで迷いましたが、現状どうしても研究したいというテーマが思いつかないので就職することにしました。できれば就職はしたくなく、大学院に籍をおいて、研究をやるふりをしてずっと音楽を聴いたり変な Web サービスをつくったりしていたかったのですが、奨学金を返す必要があります。

さて、フルタイム・ワーカーとして Web サービスの開発をやることができるようになった(やらなければならないときが来た)わけですが、ここまで来られた理由の1つとして、「インターン・アルバイト等でお世話になった企業が私を育ててくださった」ということがあります。

私には高校時代に「どうにかインターネットで面白いことをしたい、なんか Web サービスとかつくってみたい」という、承認欲求と知的好奇心の入り混じった初期衝動がありました。超適当なことを言うと「バンドやりたい!」に近い気持ちではないでしょうか。知らんけれど。しかし、いわゆる独学でちゃんとしたWeb サービス(静的なペライチのWebページではなくて、アカウントの概念があって、背後にはデータベースがあって…というようないわゆる「動的な」Webサービス)をローンチするということには(私の場合は)至りませんでした。当時から Ruby on Railsチュートリアルなど、基本的なWebサービス開発をゼロから教えてくれるオンラインリソースは存在していましたが、私はたしか途中で挫折してしまったと記憶しています。(理由は覚えていないのですが…)

また、当時在籍していた高校では「情報」の専門学科に所属しており、大学でも情報工学系の学科におりましたが、いずれも研究や教育のための場所であって Web サービス開発を学ぶ場所ではありませんでした(それはそう)。

では、本質的に私に Web サービス開発について学ぶ機会を提供してくださったのはどこだったのかを考えると、これはインターン・アルバイトでお世話になった企業の方々ではないかと思いました。企業で働くことで Web サービス開発を学ぶメリットとして、以下のような事実があると考えています。

  • お金をもらいながら学ぶことができる
  • 私の経験の上では、多くの場合Web サービスをつくるモチベーションは既に会社がもっていて、仕様を考えるところもしくは仕様通りに実装するところから始めることができる
    • 「どうにかインターネットで面白いことをしたい」という気持ちがあったとして、では具体的になにをつくったら面白いのか、ということを考えるのは難しくないですか?
      • 企業で働くことで「既に多くの人が使っている Web サービス(これは場合によっては「多くの人が面白いと感じる Web サービス」である)」をどう考えたのか、どう作るのかを知ることができます
  • 既に動いている Web サービスから、それを動かすための知見を盗むことができる

e-ntyo.hatenablog.com

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  • 人脈ができる
    • 実は「Twitter をやっていないけれどめっちゃ凄いプログラマ」がいるのです
      • 当然だろう、と思われるかもしれませんが私にとっては衝撃でした

「だから労働は最高だぜ!!働け!!!」ということでは決してなく、私はできれば働きたくないぞという気持ちなのですが、事実として以上のようなメリットを享受しました。

また、インターン・アルバイトを受け入れる企業側のことを考えたとき、企業側のメリットを考えると、

  1. 受け入れた学生を新卒採用することができるかもしれない
  2. 普通に人手不足なので未経験であっても人間が来てくれると嬉しい

などが考えられますが、1 については「かもしれない」と書いた通り、インターン・アルバイトで受け入れにもかかわらず新卒では他社へ就職するというケースは当然考えられます。日本の(日本以外の状況をあまり知らないのですが)採用市場において、ソフトウェアエンジニアは流動性が比較的高いですので、その後中途で採用する機会をつくることができるかもしれないという事実はありつつも、受け入れにかかったコストに対して採用成果として赤字的な結果になる可能性は十分に考えられそうです。

2 についても、ケースバイケースではありますが、「人手不足になっている場所」に突っ込めるようになるまでの教育コストが必要になりますし、仮に即戦力になり得る学生や学習スピードが比較的早い学生がいたとしても、そうした学生は自分のその時点での能力に対してより高度な学習機会や仕事を求めている場合があります。さらに、学生を採用する場合には大学のスケジュールを優先させなければならないというのが一般的だと思いますので、夏休みなどの長期休暇の期間を除いてフルタイム・ワーカーと同じ仕事をすることが難しい場合があります。具体的には、三ヶ月以上に渡るプロジェクトのメンバーとして採用したり、クリティカルパス上のタスクを余裕のないスケジュール感で任せることは難しいでしょう。したがって、「人手不足を埋めるための人材」として中途採用と同じ感覚でアルバイト・インターンを採用する(採用してすぐに活躍させる)ことは困難である場合があります。

長くなりましたが、私が何を言いたいかというと、私のようなガキをインターンやアルバイトとして受け入れることは大変だったのではないかということです。

id:motemen さんが初日に「インターネットへ還元するつもりでインターンをやっている」と仰っていたが、まさにそのとおりだと思う。講義の準備や教材の用意など、社員が結構な時間を使って準備をしていた様子が伺えたし、社内の雰囲気からインターン生への愛みたいなものも感じた。こんなにいたれり尽くせりなインターンは初めてだった。

「?でわっしょい」してきたぞ - はてなインターン2018参加記 - - いいんちょのブログ

この気持ちから、この機会に私がこれまでにお世話になった企業の方々にお礼をしようという気持ちになりました。どうお礼したらよいかというのを考えた結果、この記事にこの会社はめっちゃいい会社です!!!と書くことにしました。良いところの他にも、

  • なぜその企業でアルバイト・インターンをしようと思っていたのか
  • 実際に働いてみてわかったこと・感じたこと
  • 働いたことで得た知識や能力など

を書いてみます。

それでは、以下めっちゃいい会社リストです。

株式会社フューチャースタンダード

www.futurestandard.co.jp 本郷エリアにオフィスを構える、映像解析系のスタートアップ企業です。私が高校生の頃参加したハッカソンで同じチームになった方がたまたまこの会社を立ち上げた直後で、その後働かせていただくことになりました。この会社でのアルバイトが私がお給料をもらってコードを書く初めての体験となり、三年間という長い期間の間、途中他の会社のインターンに一、二ヶ月参加させてもらいつつ働かせていただいたというでっかいご恩があります。この頃は、「これを勉強したいのでこの会社に行く」という考え方ではなく、「お金をもらって世に出るソフトウェアを作らせてもらえるのですか?!」というテンションだったと記憶しています。 業務は楽しく、映像解析系のプログラムから、今やっていることに近いような Web 開発的な文脈でのソフトウェアエンジニアリングまで様々なタスクを振っていただきました。オフィスにラズベリーパイや Web カメラが山のようにあって、出勤する度に新しいガジェットが増えている、といったような非常に知的好奇心的をくすぐられる環境でした。小型 LiDAR デバイスを購入した際にはそれを使ってテルミンをつくって遊んだりして楽しかったです。ソフトウェア開発の基本のキのようなことから、映像解析・Raspberry Pi についてのニッチなドメイン知識もかなりインプットできたと記憶しています(その後しばらく使うことがなく、もうほとんど忘れましたが…)。特に、「公式ドキュメントを読む、論文を読む、専門書を読む」ということの習慣が付いたのはフューチャースタンダードでの業務のお陰だったと記憶しています。「論文読み会」のようなイベントにもこの頃はじめて参加しました。

blog.futurestandard.jp 現在はオープンなポジションがないようですが、機会があればまたお仕事がしたいなと思っております。 www.futurestandard.co.jp

株式会社 eureka

Pairs で有名な企業さまです。フューチャースタンダードでアルバイト中は比較的小規模なソフトウェアの開発をやらせてもらっていたため、デカめの Web サイトの運用をどうやっているのか勉強したく、一ヶ月間インターンシップとして受け入れてもらいました。大学の先輩経由で紹介してもらいました。

medium.com

実は私はこのインターンで目標としていた成果を出すことができず、実質的な成果がほぼない状況でインターンが修了してしまったということもあり、その後しばらくの間かなりの申し訳なさと悔しさに苛まれていました。ですが、この時の体験から目標やタスクの設定の仕方はもっと細かくしなきゃならんなだとか、デカめの Web サービスを破綻せずに運用するのは気が狂うほど大変なんだなということがわかり、今振り返ると短期間でありながら相当良い体験をさせていただいたなと思います。

eure.jp

株式会社カブク

当時、個人でちょっとした Web サービスを作る上で Angular という JavaScript フレームワークをよく使っていたのですが、Angular をバリバリ使っている会社へ行ってみたいなと思ってバイト先を探し見つけたのがカブクさんでした。カブクは製造業 xIT なスタートアップで、3D モデルや図面をアップロードすることで即時見積を出してくれるサービスなどを運営しています。代表は Simeji(Android の日本語入力ソフト)を開発した adamrocker 氏で、他にも Google Developers Expert のあんどうやすし氏などスタープログラマが多数在籍されています。さらにカブクでは年二回の開発合宿があるほか、技術記事の執筆も社員が自主的にかつ積極的に行っており、ソフトウェアエンジニアにとって大変魅力的な環境でした。 www.kabuku.co.jp カブクでは大学在学中はもちろん、別の大学へ編入学することが決まって中退した後も継続して働かせていただき(つまり学生アルバイトでありながら学生ではなかった)、自分にとってとても大切な場所になっていました(無職でずっと家に引きこもっていると精神が終わる)。技術記事も勤務時間中にたくさん書かせていただきました。 www.kabuku.co.jpwww.kabuku.co.jp www.kabuku.co.jp 株式会社カブクでは現在も Web エンジニアのインターン生を募集しているようなので、TypeScript や Angular に興味のある方はぜひ応募してみてください。ちなみにこの求人票は私も編集しました。 https://www.kabuku.co.jp/recruit/intern-web-engineer/www.kabuku.co.jp

株式会社はてな

インターネットオタクであるところの俺達の憧れであり、ユートピアである会社がはてなではないでしょうか。はてなインターン 2018 でお世話になりました。

e-ntyo.hatenablog.com

はてなインターンはもう本当に楽しくて、今でもたまに Google フォトを開いて当時の写真を見返してはよかったなぁ…という気持ちになる、ということをしています。具体的にどういうことをやったのか、というのは上の記事に書いてあります。

はてなでは、毎年夏のはてなインターンに加えて通年のアルバイト採用がオープンしているようです。募集職種はエンジニア、デザイナー、編集だそうです。

hatenacorp.jp

トゥギャッター株式会社

編入学先の大学が茨城県つくば市にある一方、当時アルバイトをしていた株式会社カブクのオフィスは東京都新宿区にあったため、流石に厳しいなということになり次のアルバイト先を探しました。探し方として、「TypeScript を書くので、茨城県つくば市周辺に住まわせてください!!!」というエントリを書いて TwitterFacebook で共有して企業からの連絡を待つ、ということをしました。トゥギャッター株式会社はその時連絡をくださった企業の一つだったのですが、トゥギャッターってソフトウェアエンジニアのアルバイトを募集していたのか?!というのと、トゥギャッターってつくばにオフィスがあるのか?!という感想でした。Togetter はもう週に一回は見ていましたし、ふつうに好きなメディアだったので即働かせてもらいました。

TypeScriptを書くので、茨城県つくば市周辺に住まわせてください!!! · GitHub

具体的にどういうことをさせてもらったかというのは以下の記事にまとめてありますが、「小さなオフィスで、少人数で、日本中のたくさんの人が面白がって見に来るサイトをつくる」という行為は尋常でなく楽しかったし、興奮しました。

e-ntyo.hatenablog.com

現在アルバイトの募集をしているか、公式サイトや Wantedly への求人掲載等を確認する限りでは不明なのですが、エンジニアリング業務ですとインフラ周りを見る人を募集しているようです。

https://www.wantedly.com/projects/188299

株式会社 HERP

現在のバイト先です。トゥギャッター在籍中、今一緒に仕事をしている @Nymphium 氏から Twitter の DM でアルバイト募集の連絡をいただきました。当時ちょうど本社の五反田の他につくばにもオフィスをつくろう、という時期だったようです。

以下の記事にも書きましたが、私は functional programming に興味があったためHERPのことは以前から知っていて、最初は自分の実力はHERPのそれに及ばないのでお断りしようと思っていましたが、多分大丈夫!wみたいな返事だったので働き始めました。

e-ntyo.hatenablog.com

入社前は fp-ts をやるぞ!という気持ちが強く、実際に fp-ts のことはだいぶ勉強できたのですが、それ以前に HERP は創業三年の会社でやるべきことが多く、自分が想像していた以外のタスクもいい意味で色々やらせてもらえました。つくばのオフィスができたのとほぼ同時に入ったというのも結果的には良く、「オフィスをつくる」というところからはじめられた体験は個人的に興奮しました。今はつくばのオフィスにも10名近いメンバーがいて、Pandemic が明けたらわいわいやりたいなと思っています。

HERPの好きなところは色々あるのですが、特に良いなと思うのはソフトウェアエンジニアが自分の実装やコードに責任を持つぞ、という意識が比較的強い点です。あと、良い製品をつくるぞとか、顧客が本当に必要なものを作らないとしょうがないだろうがという意識も比較的高い気がします。私はそのへんの意識がお恥ずかしながらかなり低かったため、こういう環境に来られてラッキーでした。

個人的に、functional programmingなど、技術的な思想ももちろん重要だと考えているのですが、フルタイムで長く一緒に働く上では上記のような「ソフトウェアエンジニアリングにおける意識の高さ」が比較的高い人たちに影響を受けたいという気持ちが強く*1、新卒で働く場所としてHERPを選びました。(他にも、創業三年の小さい会社で自分が入ったら裁量が比較的デカいだろうとか、ストックオプションもらうぞーとか、理由は色々あります。)

HERPでももちろんソフトウェアエンジニアのインターンシップ・アルバイトを募集しています。

herp.careers

自分がインターン・アルバイトを受け入れる立場となるにあたって

最後に、今度は自分がインターン・アルバイトを受け入れる立場となるわけですが、自分の経験からこういうことに気をつけたい、こういうことをやっていきたいぞというのを書いておきます。

  • インターン生にとっても会社にとっても有益になるようなタスクを提供できるようにする
    • 前述の通り、学校へ通っているという都合上、何も考えずにフルタイムワーカーと同じ仕事を切り出してやらせるとうまくいかないことがあります
    • 現段階では、「そんなに急ぎでないけれど、あったら嬉しいというものを作ってもらう」、「GoogleFacebookがサマーインターンでやらせているように、将来的に自分たちの会社に役立ちそうな調査や研究をしてもらう」などを考えています
      • 実際に、先日会社のScrapboxに 「イワタ(インターン生ワクワクタスク)情報」というページをつくって自分の思いつくイワタを列挙しておきました。他のメンバーもイワタを追加してくださり、将来的にイワタを相性の良いインターン生にアサインできたら良いなと思っています
  • この会社は楽しいな、格好いいなと思ってもらえるような受け入れ体制をつくる
    • 誰かが部屋に遊びに来るぞとなったとき、自分は寝間着で、部屋も汚いというのはまずいです
    • 前述の通り、インターン・アルバイトを受け入れることは大変なので、「楽しいな、格好いいな」と思ってもらってあわよくば入社してもらわないと骨折れ損になってしまいます
    • ちょっとこれについては具体的にどういう施策をやればよいか思いついていないです。良いアイデアがあれば教えてください
  • インターン・アルバイトをリスペクトする
    • インターンに限らずかもしれないが、新しく来た人だから、自分より年下だから、というバイアスがもしあるのであれば組織のために捨てていかないといけないと考えています
      • 例えば、自分はまったくもってそうではありませんでしたが、中には「この指標で見ると社員よりも明らかにコミットメントしているぞ…」というような恐ろしいアルバイトの学生がいらっしゃることがありました。このときちゃんとその人を褒めて(表彰制度をつくったりして)、ご褒美をあげて(時給を上げるとか)、というようなことを正社員と同様にしていかないといけないなと思っています
        • ソフトウェアエンジニアリングの文脈に限らず、過去の成功体験がある → 自分にある程度の自信がつく、自己肯定感が育つ → 以前より比較的積極的に何かに挑戦する機会がうまれて、次の成功につながる可能性が高まる という仕組みをつくっていく必要があるように思います。

改めて、お世話になった企業の皆様、どうもありがとうございました。これからも頑張ります。そして早めに無職になりたいです。

*1:このリストに書いた他の企業のソフトウェアエンジニアのこうした意識が低かったわけではなく、主観ですが平均してそうした意識は高かったと思います。ただ、HERPのソフトウェアエンジニアのこだわりは特別強いです。