地元燃焼

謝罪

物騒なタイトルをつけてしまって申し訳ない。地元で火事があったとか、そういう話ではないので安心してほしい。燃焼、というのはあくまで喩えだ。

さて、以前のブログエントリに、「地元の友達と集まって遊ぶために、マンションの部屋を借りている」という話を書いた。

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この部屋を借りて、もうすぐ3年半になるのだが、ぼちぼち部屋を解約しようと思っている。

俺が実家を出ようと考えているためだ。一年くらい前から、友達には伝えていた。

ただ、たらればの話になってしまうのだが、実家云々の話がなくても、俺は部屋を解約していたと思う。

なぜなら、もう燃やすものがなくなったな、と感じているからだ。

燃焼(比喩)

部屋を借りてから最初の一年間は、滅茶苦茶に楽しかった。今でもしばしば、友達とその話をする。

実際に、部屋で撮影した写真を共有するための Google Photo のアルバムを見返してみると、2000枚近くある写真のおよそ半数が、最初の一年間に撮影されたことがわかる。(最初の一年間は今より部屋に来る人が多かったから、その影響もあるかもしれないけれど)

俺たちは、会うたびにものすごい速さで「俺妹」の感想を話し合った。

俺妹の話がしたくて、平日の夜に何度も部屋に集まった。休日、登山へ行っても、ずっと俺妹の話をしていた。山頂近くで、高坂桐乃のキャラクターソング「妹プリ~ズ!」を流して爆笑した。

大菩薩峠で撮影した写真。この辺りで友達が突然「妹プリ~ズ!」を再生した記憶がある

そして、みんなで俺妹の二次創作SSを書いて、同人誌を作ってコミケに参加した。

ここまでがちょうど、部屋を借りて10ヶ月くらいの出来事だ。

しかしその後、俺たちがコミケに参加することは一度もなかった。

特にその理由について考えたことはなかったのだけれど、今同じメンバーで同人誌を作ることは、もうできないとはっきり言える。

なぜなら、我々が同じ熱量で夢中になれるものは、今のところもうないからだ。

俺妹をきっかけにラブコメを好きになった後、我々は貪るように「名作」と名高いラブコメ作品を鑑賞した。

「弱キャラ友崎くん」を読んで、大宮の餃子の満州へ行った。

ぎょうざの満洲 北与野駅前店

「負けヒロインが多すぎる!」を読んで、豊橋ののんほいパークへ行った。

のんほいパーク。豊橋は良いところだったなぁ。

けれど、「名作」はそんなにポンポン生まれるものではない。

我々が集まってコンテンツの話をする頻度に対して、コンテンツの供給が追いつかなくなっていった(贅沢な話だ)。

似たようなことが、音楽についても起こった。

我々はそこそこ音楽が好きで、バンドのライブに3人で行くことも何度かあった。

リーガルリリーのライブをはじめて観た時、駅までの道で「たかはしほのかさんのMCと演奏のギャップがさァ!!!」と唾を飛ばしあったことを、今でも覚えている。

しかし、よほどのファンでない限り、同じアーティストのライブに、1年間のうちに何度も行くことはないだろう。

俺たち3人が共通して好きなアーティストは限られていて、アーティストが心血を注いで楽曲を世に放つには時間がかかる。対して、俺たちは週末を持て余していた。

持て余す時間を埋めるように、いろいろなことをした。友達に車を出してもらって、山や川や海へ行った。旅行もキャンプもしたし、最近では運動の機運が高まって、ゴルフの打ちっぱなしやバッティングセンターにも行った。

それでも週末の予定に困るくらいに、俺たちはよく集まっている。

だからやっぱり、燃やし尽くしてしまったのだと思う。3人が同人誌を作りたいと思うほどの薪は、現状見つかっていないのだ。

換気が必要

薪を燃やすと、部屋の酸素が減る。頭が痛くなるから、換気をする必要があるだろう。

具体的には、俺は他の友達を呼べるように、部屋を綺麗にしようとした。

普段あまり話さない友達と話すことで、部屋に新しい風が吹いて、酸素が供給されるかな、と思ったのだ。

実際に、アルバムの過去の写真を見返すと、部屋の床が見えないくらい汚かったのが、突然綺麗になっていくタイミングがある。

そこが自分にとってのターニングポイントだったのだと思う。

けれど、結果として、部屋の風通しは良くならなかった。

誰かが部屋に来てくれても、部屋の近くに住んでいる現メンバーが来る頻度が圧倒的に高いのは変わらないので、普段の部屋の雰囲気が変わることはなかった。

何より部屋と同質的な人しか部屋に来たがらなかったので(そりゃそうだ)、いずれにせよ部屋の空気が変わることはなかったと思う。

衝突

ところで、ここ1、2年で、我々はたまに衝突するようになった。

本当に、たまにだ。基本的にはみんな仲良しだし、今も週に2、3回は部屋に集まって楽しく遊んでいる。

けれど、言い方がどうしても許せないことを言われたり、我慢できないことをされたりして、強く当たってしまうことがある。

宝石箱みたいに周りに楽しい物事が溢れていたあの頃は、全くそんなことは起きなかった。

おそらく、我々は薪を燃やし尽くして冷静になり、お互いの言葉や行動がよく見えるようになってきたのだと思う。

薪がなくたって俺たちズッ友だよ!と言えたら美しいけれど、残念ながら俺たちはそこまで人間ができていないように思う。

チカレタ…

そして、正直ちょっと疲れた。

というより、薪を燃やしていた時に出ていたアドレナリンが切れたのだと思う。

最近は、平日の夜に一度家に帰ってから、部屋に行くことがすごく面倒に感じてしまう。

本当は、そんなことを思いたくはない。部屋に行かなければ、自分には話し相手がいないし、行けば楽しい気持ちになることはわかっている。

それでも、平日は行きたくないなと思うことが増えた。

疲れていて、かつ、薪の少ない状態で友達に会うことを拒んでいる自分に気づいた。

薪をくべる

去年の冬に、みんなでキャンプに行った。

長野の山の中にあるキャンプ場で、朝方はとても寒く、地面には霜が降りていた。

火を起こすために、木の枝や葉を近くから集めてきたのだが、霜が降りているせいか、うまく火がつかなかった。

仕方がないから、友達と2人でキャンプ場の中を歩き回って、霜が降りていない、乾燥したものをかき集めてきて、なんとか火を起こすことができた。

なんとか火を起こして冷凍食品を温めている様子。寒いと温かいものがめちゃ美味しく感じてお得だった。

どこかから燃やすものをかき集めて、火を起こし、火が消えたら解散する。そういう集まり方にシフトしていく必要があるように思う。

あるいは、火が消えても寒い中で一緒にいられるように、強くならないといけない。

あまり面白くない話で申し訳ないけれど、書いておきたいと思った。最後まで読んでくれてありがとう。

最近買って良かった服(2026年上半期)

2026年上半期(2026年1月~2026年6月)に買って良かった服を発表します!

2025年夏:

e-ntyo.hatenablog.com

2025年冬:

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CUP AND CONE のフリースジャケット

CUP AND CONE のフリースジャケット。未開封の状態ですみません。

blog.cupandcone.jp

まずはPOLARTECフリースを使ったジャケットですね!

CUP AND CONEというアパレルブランドが好きで、よくチェックしているのですが、年始にセールをやってくださり、すごく安く購入できました。

さて、POLARTECフリースってそもそも何、という話ですが、ざっくり以下の特徴を持つ高機能フリース生地のことっぽいですね:

  • 軽くて暖かい
  • 通気性に優れている(汗がこもりにくい)
  • 速乾性が高い
  • イージーケア(ガンガン洗濯できる)

www.polartec.com

んで、実際に着てみた感じ、モロ上に書いた通りで最高でした。

特に「軽くて」暖かい、っていうところが最高ですね。これまで、真冬はダウンジャケットを着ていたのですが、あれってどうしてもかさばるし重くて、電車の中で一旦脱ぎたい時とかに結構ストレスだったんですよね。

その点、(POLARTECの)フリースジャケットは、ダウンには劣るけれど充分暖かいし、めちゃ軽いのでシュッと脱いで網棚に置けるので最高です。

あと、ダウンと比較した時のメリットがもう一つあって、洗濯機で普通に洗えることですね。

ダウンを洗うのってガチで面倒くさくて、専用の洗剤を使って優しく手洗いする必要があるのですが、このフリースジャケットは洗濯機にぶち込んで終わりなので、そこも最高です。

BLINK の POLARTEC EAR-FLAP BEANIE(耳当てつきの帽子)

[ BLINK ] POLARTEC EAR-FLAP BEANIE MADE IN USA – In part

POLARTECフリース繋がりでもう一点紹介させてください。

耳当て付きの帽子なのですが、全人類買った方が良いと思います。電車の中で着けていると「風呂入ってるんか?」というレベルで暖かい(暑い)ですし、軽くてかさばらず、持ち運びも便利です。先に紹介したフリースジャケット同様、この帽子もガシガシ洗濯できちゃいます。

全人類におすすめした手前でアレですが、特に自転車に乗る人には超オススメです。耳当てがついているので、風から耳を守ることができますし、耳当ての先端についているヒモが3M社の反射材入り(!)なので、気休め程度ですが、夜道でのライドの安心材料になるかもです。

最後に、これはオマケ要素ですが、この製品はUSA製です。POLARTECフリースの生地の生産も、帽子の縫製もUSメイドにこだわっているそうです。

この拘りは、開発者の石幡さん(BLINKのオーナー)の「フリースは、アメリカの独自文化を反映した、近代のアメリカントラッドな素材だ」という解釈から来ているようです。「本物」の(あるいは「本場」の)フリースアイテムを開発してやるぞ、というアツい想いがひしひしと伝わり、すごく格好良いなと思います。

出典:

in-part.net

POLO RALPH LAUREN のダウンベスト

POLO RALPH LAUREN のダウンベスト(古着)

POLARTECフリースをヨイショする流れでダウン製品のことをサゲてしまいましたが、言ってもダウンの保温性能ってやっぱ半端ないんですよね。(手のひらクルー)

そこで買ってみたのがこちらのダウンベストです。前2つの商品は新品で購入しましたが、こちらは古着を買いました。下北沢のヒッコリーというお店で買ったはずです。

俺はこれまで、ダウンベストを買う人の考えが本当にわからなくて、「なんで腕の部分がない服を買うの??寒くない???」と思っていたのですが、私が愚かでした。

実際に使ってみると、ダウンベストにはダウンジャケットにはない利点があります。それはかさばらないことです。フリースジャケットと同様に、電車で脱いで網棚に載せるのが楽ちんです。また、脱ぐ時だけでなく、着る時もスッと腕を通すことができ便利です。

肝心の保温性能ですが、これも実際に着てみると思ったより寒くないです。もちろん、これで真冬の北海道へ行くのは流石にきついと思いますが、都内の会社への通勤(チャリ→電車→徒歩)はダウンベストでも余裕でした。

NIKE AIR FORCE 1 GTX VIBRAM

NIKE AIR FORCE 1 GTX VIBRAM(OFF NOIR/BLACK-SPEED YELLOW)

次は靴ですね。NIKE AIR FORCE 1 の GTX VIBRAM モデルを買いました。

www.atmos-tokyo.com

シンプルなスニーカーが好きで、普段はもっぱらAF1かVANSのAuthenticを履いているのですが、AF1の方はヒールパッチをつけずに履いていたので、踵の外側のほうがめちゃくちゃすり減っていました。 後ろから見た時に悲しい気持ちになるので、流石に買い換えるか…と思っていたところ、丁度このモデルを見つけました。

普通のAF1との違いは、「ゴアテックスで雨に強く、Vibramソールで路面凍結も怖くない」の2点だと思うのですが、実際に雨の日に履いてみるとめちゃくちゃ安心感があります。ゴアテックスで雨を通さない、というのはもちろんですが、履き心地(特に、かかとを地面につけたときの感触)が良い意味でかなり硬く、まるでトレッキングシューズのような安定感すら感じます。

ビジュアルもめちゃ良くて、最初にWebサイトで見たときは「ええ…普通のAF1のツルツルテカテカした質感が好きなのに、シボ加工が入っとるやん…シューレースもなんか変だし…」と思っていたのですが、実際に届いてみるとこれはこれで大アリでした。

デザインと性能の両方の観点から、この子はもはや普通のAF1とは別物として考えるべき逸品だと思います。スニーカーというより「お洒落なアウトドアシューズ」の方が個人的にはしっくり来ます。マジで最高です。

asics GEL-NYC RDG

これがベストバイの最後になります。ここまで読んでくださってありがとうございます。

また靴です。asics の GEL-NYC RGD というモデルを買いました。

asics GEL-NYC RGD

www.asics.com

あの、ここだけの話ですが、ぶっちゃけアシックスって瞬足みたいでダサくないですか?

俺はそう思っていて、履きこなすには相当オシャレな人でないと厳しいんじゃないかと考えていました。

ところが、少し前に、仕事で7-8日くらいずっと立ちっぱなしになることが決まり、「普段通りに Authenticとか履いたら下半身のどっかしらが疲労骨折してしまう!!」と思ったので、立ちやすい・歩きやすいスニーカーを探してみたのですが、その手の靴に詳しそうな人たちが、口を揃えてアシックスのスニーカーを推しているんですよね。

他だとOnとか、ランニングシューズのブランドになってしまうのですが、それはちょっと好みじゃないです。となると、選択肢はアシックスに限られます。

そんなわけで、「コレは仕事道具なんや…必要経費なんや…」と自分に言い聞かせ、中古でエイヤとポチってみたのですが…

いざ履いてみると、これ格好良いですね(手の平クルクルー)。

ちょっと話が逸れますが、瞬足って、素材のチープさとデザインのザ・運動靴感が相まって、絶妙なダサさを醸し出しているのだと思います。

一方でこのモデルは運動靴感こそあれど、そこそこ高いだけあって、様々な材質・色の素材が使われていて、それらの素材の組み合わせにより、安い運動靴にはない奥行き感が感じられます。

だいぶ寄って撮影した GEL-NYC RGD。質感の異なる素材や、濃さの異なるグレーが巧みに使い分けられている。

ランニングシューズのデザインって、シルバーを基調としたり、ゲルやらエア(空気)やらなんだか凄そうな素材・仕組みを導入したりすることで、ハイテク感・近未来感を出そうとしていると思うのですが、そのデザインを具現化するときの素材がチープだと、たぶんその演出が嘘くさくなってしまうのですね。

横から見た GEL-NYC RGD。ゲル部分が王蟲みたいでちょっとキモい。

上野のアメ横とか、神田のスポーツショップの路面で安売りされている運動靴が、なぜあんなにダサく見えるのか、自分のなかで腑に落ちた気がします。

話を今回買った靴に戻すと、ランニングシューズって、たくさん歩いたり走ったりしても疲れないように、めちゃ軽く作られていると思うのですが、このモデルは良い意味で軽すぎないのも良いです。ちゃんと、「一般的なスニーカーの重さより少し軽い」くらいのところに落ち着いている気がします。

それでいて、履き心地と歩き心地はバカ良いです。申し訳ないけれど、俺が普段履いているAuthenticとかAF1の履き心地は、これに比べたら多分軍靴みたいなものです。7日間連続の立ち仕事もこいつでなんとか乗り切りました。

そんなわけで、ランニングシューズのような快適な履き心地・歩き心地を実現しつつ、おしゃれスニーカーとして成立しているというのは、結構すごい気がしますね。

以上!!

服じゃないですが、下半期は指輪とか、アクセサリ系を買ってみたいですね。Pebble 2 も気になっています。お金めっちゃ欲しい。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

【暴論】世の中の全てのパンツにマジックテープをつけるべきだ!

(アディダスの財布)(瞬足)(コーナーで差をつけろ)

「マジックテープはダサい」という印象があるかもしれない。剥がすときにベリベリと音がするからだ。

確かに、気になっている人がお会計で財布を取り出したとき、そのデザインがダサくて、しかも開けるときにベリベリと音がしたら、やや蛙化してしまうかもしれない。

…しかし、マジックテープに罪はない。ベリベリと音がしても問題ないシーンで使えば良いだけの話だ。

マジックテープの出番

自分の日々の生活の中で、マジックテープの「出番」、それも、ベリベリと音がしても問題のないシーンが存在することに、最近気がついた。

それは、自転車に乗るときだ。俺は通勤や駅までの移動にシェアサイクルを使っているので、自転車にはほぼ毎日乗る。

なぜ、自転車に乗るときにマジックテープが必要なのか。

自分が自転車のサドルに跨り、ペダルを漕いでいる様子を思い浮かべてみてほしい。 ペダルが軌道上の一番上に来たとき、膝が持ち上がっていると思う。 このとき、パンツの前ポケットにスマートフォンが入っていると、スマートフォンが滑り落ちてしまいそうになる。

乗る前にカバンにしまいましょうよ、と言われてしまうかもしれない。確かにその通りだ。

ただ、予約したシェアサイクルを解錠する際にはスマートフォンの操作が必要であり、ポチポチして解錠した後、リュックを一度前に背負い直し、 スマートフォンをしまって、もう一度後ろに背負い直してさあ出発!…というのは、いささか面倒なのだ。

あーあ。ポケットにスマートフォンをぶち込んだまま、安心してチャリに乗る方法があったらナァ〜

…そこで、マジックテープの出番である。

マジックテープ付きポケットとの出会い

初めてマジックテープ付きのポケットが付いたパンツと出会ったのは、確か去年の夏頃だったはずだ。

柏の wasteville という老舗の古着屋をウロウロしていたら、ノース・フェースのコンバーティブル・パンツ(長ズボンなんだけれど、膝から下を切り離してショーツにもできるパンツ)が目に留まった。

ノース・フェースのコンバーティブル・パンツ。膝から下は切り離した状態。

汗をかいてもすぐに乾きそうなナイロン製で、ウェストサイズを調整するウェビングベルトもついている。何よりデザインが好みだった。 試着をしてサイズも合ったので購入した。

家に帰ってから、後ろのポケットにマジックテープがついていることに気がついた。

後ろのポケットについているマジックテープ

おそらく、登山や川遊びなどのアクティビティの最中に、ここに入れた持ち物が落ちないよう、テープで留められるようになっているのだろう。

しかも、ポケットの深さがめちゃくちゃあり、なんと文庫本がすっぽり入ってしまう。

通勤中、電車内で立ちながら文庫本を読んでいる時にも、飽きたらこのポケットに収納することができる。そして、もう片方のポケットからスマートフォンを取り出す…なんていうこともできてしまう。とても便利だ。

この頃はまだシェアサイクルを利用していなかったのだが、およそ一年が経った今、あのパンツがあるじゃないか、と思い出した。

引っ張り出して使ってみると、案の定、ポケットにスマートフォンを入れたまま自転車に乗ることができた。最高や!

追加発注

これに気を良くして、俺はマジックテープ付きのポケットがついた服を見つけたら、また買いたいなと思っていた。

ただ、似たような服(アウトドア系のコンバーチブルパンツ)を何着も買っても仕方がないから、前回同様、また古着屋で偶然出会えたりしたら良いな、くらいに思っていた。

先に書いた通り、別にマジックテープ付きのポケットが無くたって、ちゃんとカバンにスマートフォンをしまえば良いだけの話だから、暑い寒いの話と違って致命的な問題ではない。

ある日、俺はショーツ(半ズボン)が欲しいなと思って、豪徳寺の Nerdy Dogs という古着屋さんを訪ねた。 このお店はアウトドア古着の専門店で、俺の目当ては、「グラミチ」という、ロッククライミングをする人のためのブランドのショーツだった。

ショーツ類は、店の奥にかなりの量が並んでいて、ブランドごとに整理されており、その中にはグラミチのクライミングショーツもあった。 グラミチのショーツはやはり格好良い。ただ、その隣のコーナーに、ものすごい量の「イナたい」ショーツが並んでいた。

Nerdy Dogsに並んでいたイナたいショーツのうちの1つ

グラミチのショーツは、クライミング用ということもあり、簡単に破けないよう、ある程度柔軟性がありそうな印象だが、一方でこちらのショーツは、コットンキャンバスの硬そうな生地だ。

ブランドタグから、パタゴニアの製品だとわかった。色やサイズ違いで30着以上が並んでいるのだが、それぞれフェード(色褪せ)の程度が異なり、使い込むほどに「味」が出てくるようだ。

イナたいショーツの背面。右上にパタゴニアのブランドロゴがついている。

格好良いな、と思ってラックから取り出した、そのときだった。

…ついている。

「あの」マジックテープが、ついているじゃないか!

ありがとう。

ポケット、ちゃんと深いです。ほんまにありがとう。

他の製品とあわせて試着して、比較・検討を重ねた結果、俺はこのショーツを買うことにした。

マジックテープ付きのポケットがついていることが大きな加点要素になったことは言うまでもないが、使い込むほど格好良くなりそうな(それでいて分厚くなく、暑そうな印象はない)生地もかなり魅力的だった。

このショーツは「スタンドアップショーツ」という製品名らしく、現行のモデルも存在するようだ。古着に抵抗がある人は、こちらを試してみるのも良いかもしれない。

www.patagonia.jp

ないならつけてやる

この記事はもう少しで終わる。ここまで読んでくれてありがとう。

さて、俺はもう完全にマジックテープ付きポケットの信者になっていた。

時系列が前後して申し訳ないのだが、実はスタンドアップショーツを買うよりも前に、「なんでマジックテープ付きポケットは素晴らしいのに、全てのパンツについてないんだよ!」と怒り出し、自分が持っているパンツに無理やりマジックテープを取り付けるという暴挙に出ていた。最後に、このことについて話しておきたい。

結論から言うと、これはすごくおすすめだ。

衣類に取り付けるためのマジックテープはユザワヤで安く買えるし、縫い付ける箇所も少ない。

Dickies のダブルニーの前ポケットに、マジックテープを取り付けた様子

なんなら、アイロンでくっつくタイプのものも売っていて、俺はこれを使ったのだが、ほんまに取り付けたい箇所(前ポケットの入り口)にマジックテープを置いて、上からアイロンするだけで終わりだ。

www.yuzawaya.shop

一点、注意が必要なのは、ポケットに手を突っ込むとチクチクして痛いことだ。肌が敏感な人はやめておいた方が良い。

ただ、俺はそこまで肌が弱くないので、何回か使っているうちに慣れてしまった。(あるいは、チクチクしていた部分の先端が丸まったのだろうか?)

結論

シェアサイクルを利用する人には、マジックテープ付きのポケットがついたパンツをおすすめしたい。

スマホをすぐにしまって、そのまま自転車に乗ることができるからだ。

ただ、ここまで書いておいてあれだけれど、スマートフォンがお尻にある状態って結構異物感があるので、ズボラでない人はちゃんとリュックにしまうことをお勧めする。そして何より、マジックテープがついているからと言って、落下の可能性がゼロではないことは言うまでもない。

あとは、ウエストポーチを使ってみるのも良いかもしれない。ウエストポーチをファッション的に格好良く取り入れるのは難易度が高そうに思えてしまうが(どうしてもジジくさい印象があって…)、いつか挑戦してみたい。

他にも、「シェアサイクルに乗るときのスマホ問題」の解決策があればぜひ教えて欲しい。最後まで読んでくれてありがとう。

【悲報】偏屈なおじさんになってきた

体に無理が効かなくなってきた

ちょうど一週間前の、先週の日曜日。 寝不足の状態で少し遠出してお花見をしたら、熱中症のような症状が出た。 言っても花見では大したことはしていなくて、ずっと座っていただけだから、 そのうち治るだろうと思って、医者にも行かずに過ごしていたら、 悪化して副鼻腔炎になった。 金曜日にようやく耳鼻科へ行って、今はだいぶ体調が良い。

以前までは、寝不足で多少遠出したくらいで体調を崩すことなんてなかった。 ましてや、体調を崩した状態が一週間続くなんてことはあり得なかった。

この前、同い年の友達と遊んだ帰りに、 「体調を崩した後の回復が遅くなっている」と教えてもらって、 そんなもんかな、と思っていたけれど、自分もモロそうなっていた。

(徹夜はしたく)ないです。

少し前、会社の飲み会の二次会で、同僚が終電を逃した。 会社で始発まで仕事をすると言うので、一人にするのも悪いなと思ったけれど、 どうしても徹夜で仕事ができる気がしなくて帰らせてもらった。

「体調を崩した後の回復が遅くなっている」と教えてくれた友達は、 最近、オールナイトのクラブイベントに行ってきたみたいで、とても楽しそうだった。 夜通し、流行りのアニソンのRemixが流れるみたいで、 俺も行ってみたいな、と思いつつ、 徹夜で踊るのはしんどいなという気持ちにはやはり勝てない。 なんなら、最近は日中開催の音楽イベントのタイムテーブルを眺めても、 ずっと立っているのはしんどいな、と思うようになってしまった。

3年前、シェアルームを借りてすぐの頃は、 徹夜でYoutubeのよくわからない動画を観ていたこともあった気がする。 でも、今は絶対にやりたくない。

体力をつけようか?

ここまでの文章を書いていて気づいたが、多分体力が落ちたのだと思う。

一応、週に2回、5km前後のランニングはしているのだけれど、 そういうことではなくて、徹夜の体力というか、 眠くてしんどいな、という時に踏ん張る体力が落ちてしまったのだ。 そう考えると、寝不足のお花見で予想以上のダメージを受けたことも、 徹夜ができなさそうな予感がすることも納得がいく。

では、体力をつければ良いのでは? その通りだと思う。けれど、全然やる気がしない。

多分、筋トレと同じように、 徹夜も、何回もくりかえることで徹夜の体力がつくのだと思う。 けれど、今、徹夜をしてまでクラブへ行きたいとは正直思わない。 シェアルームで、夜通し女性YoutuberのVlog動画を観るなんて論外だ。 家に帰って寝たいって。

より偏屈になった

この件の悲しいポイントは、 以前はできていたことができなくなった、という体力的な点が一つと、 もう一つは、前より偏屈になった、という点だと思う。

どういうことか。

オールナイトのイベントは、多分当時からキツいと思っていたのだ。 それでも参加できていたのは、もちろん体力のこともあったと思うが、 それ以上に、「自分の興味のない曲が流れている時間をやり過ごす耐性」が今よりあったからだと思う。

今は、体力がないだけでなく、この耐性もないものだから、 「楽しそう」よりも「辛そう」が上回り、 「ちょっと無理してでも行ってみようかな」 という気持ちにならないのかもしれない。

自分が以前にも増して偏屈になっている、という事実はかなり悲しい。受け入れ難い。 けれど、これを改善できるか(興味のない音楽を聴いたり本を読んだりできるか)と言われると、到底無理だ。 まだ「今からハーフマラソン走れ」とか言われたほうがマシだ。本当に。 それくらい無理だと思う。俺が流行りのアクション漫画とかを読むのは。

すごく好きなものはまだある

でも、例えばの話。

俺が最近熱中したいくつかのライトノベル、 「ミモザの告白」とか、「三角の距離は限りないゼロ」とか、「あそびの関係」とか。 この辺の作品がアニメ化して、一気に12話公開されるとしたら(あり得ないけれど)。 俺は徹夜してでも観ると思う。

もしかすると寝落ちしたり、また体調が悪い状態が長引いたりするかもしれないけれど、構わない。 自分にとって大切なことが語られる作品を鑑賞する時の、 救われる感じとか、ハートがキラキラする感じは、他の何事にも代えられない。

例えば、「変猫」のさがら総先生が新刊を出すと分かったら、 真っ先に書店へ走っていち早く読みたい。会社の休みを取ってでも。

宣言する

ここに認めよう。 開き直るわけではないけれど、純然たる事実として、 俺は偏屈なおじさんになった。 自分の興味のないことを受容しづらくなったし、体力も落ちた。

でも、自分が心から好きだと思えるものに出会った時の、 あのいつまでも起きていられるような感覚は、まだなくなっていないように思う。

これから先、今よりさらに偏屈になって、 手のひらの隙間から砂がこぼれ落ちるみたいに、 好きなものは一層少なくなっていくのかもしれない。

それでも、砂が残っているうちは、 魔法みたいな時間がまだ味わえるのかと思うと本当に嬉しいし、 その間は、どうにか生きていきたいなと思う。

最近買って良かった服(2025年冬)

最近買って良かった服(2025年冬)を発表します。

2025年夏:

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FRUIT OF THE LOOM のスタジアムジャケット

FRUIT OF THE LOOM のスタジアムジャケット

なんてことはない、シンプルなデザインのスタジャンです。柏の『Gimmick』という古着屋さんで購入しました。

この子の好きなところは、まず配色ですね。 スウェットでは王道のカラーリングである、ライトグレーをベースに、腕の部分や、各所の差し色に、明るさを抑えた上品な赤色(バーガンディー?)が使われています。

次に良いところは、素材です。 『SUPER COTTON』とかいう、めちゃくちゃがっしりとしたコットン生地が使われているようで、羽織ったとき、スタジャンとは思えない重厚感と保温性があります。 12月に買ったのですが、ちょっとあたたかい日ならこれをアウターにしても全然問題ないです。

(中略)商品名のSUPER COTTONは、発売当時のカタログに記載されていた防縮加工を施した厚手のコットン生地を意味する「SUPER-HEAVYWEIGHT PRESHRUNK COTTON」に由来している。

www.fashionsnap.com

また、シルエットも最高で、アームホールがすごく太く、僕の華奢な体を強そうに見せてくれます。とても頼もしいです。

ボトムスに太めのジーンズ、足元にボリューム感のあるスニーカーを持ってくると、めちゃくちゃ90年代感が出てテンション上がります。

古着買うときいつもこれ

TRIBE WEAR SDP 25CREWNECK SWEAT アッシュグレー

TRIBE WEAR SDP 25CREWNECK SWEAT アッシュグレー

こちらは、『スチャダラパー』というヒップホップ・グループのマーチャンダイズです。現行品をECサイトで購入しました。

schadaraparr-store.jp

今年、スウェットがたくさん欲しくて3着ほど買い足しましたが、このスウェットが一番気に入っています。

まず、胸元にどデカくプリントされたロゴが可愛いです。「S」「D」「P」のタイポグラフィは、(Dが特に)ぶっとくてポップな印象ですし、それを囲う枠のデザインも、なんだかテレビ番組のロゴのようでキャッチーです。

そして、このスウェットの一番の魅力はボディです。TRIBE WEARというブランドのボディが使われているそうなのですが、こちら、調べてみるとなんと定価が税込み8800円もします。

sophomore.shop

マーチャンダイズのスウェットの値段が9900円であることを考えると、これってほとんど儲けが出ないのでは…?と恐ろしくなりますが、何を言いたいかというと、値段相応のめちゃくちゃ良いボディだということです。

まず、着丈が短く、アームホールが太いシルエットになっていて、シルエットがめちゃくちゃ格好良いですし、使われているコットンも14ozでしっかりしています。裏地にはパイル生地が使われていて、着心地が良いのも素敵です。

Gander Mountain のリアルツリー・カーゴパンツ

Gander Mountain のリアルツリー・カーゴパンツ

こちらは、『Gander Mountain』というアメリカのアウトドア・ブランドのパンツです。代々木公園駅の『オキドキ』という古着屋さんで購入しました。

このパンツは僕が今年買ったパンツの中で一番格好良いと感じました。

まず、配色がイカしています。リアルツリーのデザインは今年、ドメスティックブランドの商品デザインでもしばしば見かけましたが(流行っているのでしょうか?)、この子の配色が個人的にはいちばん好みです。

暗めのブラウン、コンクリートのような印象のグレー、そしてブラックという、アースカラーと都会的なカラーをかけ合わせた配色で、アウトドアアイテムでありながらも街着として取り入れやすいです。

また、太めのシルエットも格好良いですし、膝部分がダブルニーとなっていたり、コットンに起毛加工が施されていてあたたかそうな印象を持っていたり、足元やウエストを絞るためのベルトがついていたりと、洋服としての完成度がめちゃくちゃ高いと感じました。

確か、7800円くらいで購入したのですが、ちょっとありえない価格設定だと思います。今国内のドメスティックブランドで似たようなものを買おうとしたら、2万円はくだらないのではないでしょうか…

しかもしっかりUSA製。最高です。

L.L.Bean のシャモアクロスシャツ

L.L.BEAN のシャモアクロスシャツ

こちらも、アメリカのアウトドアブランド『L.L.Bean』のシャモアクロスシャツです。代々木公園駅の「FRONT 11201」さんで購入しました。

起毛感のあるかなり厚手のコットン生地が使われており、秋冬にぴったりのシャツだったので購入しました。

アメリカ製で、「ザ・むかしのL.L.Beanの製品」って感じの雰囲気が最高です。

一番気に入っているのがポケットのフラップ部分のデザインで、よく見ると水平になっておらず、かなり斜めに生地が切られています。なんか、「斜めに切ったら格好良いんじゃね!?」というデザインの発想が、すごく適当でアメリカっぽいなと勝手に思ってしまい、愛らしいです。

CUP AND CONE の耳当てつきビーニー

CUP AND CONE の耳当てつきビーニー

こちらは『CUP AND CONE』という日本のアパレルブランドのビーニーです。ECサイトで購入しました。

これ、最高です。

3000円くらいで買ったのですが、ほぼ毎日使っているのでタダみたいなものです。残念ながら売り切れてしまったのですが、もしメルカリなどに流れていたら買っておいたほうが良いと思います。

すごく気軽に被れる耳当てつきのビーニーで、特徴は耳当てを上げたり下げたりできるところです。

家から駅までの移動は耳当てを下げて、電車に乗ったりコンビニに入ったりするときは耳当てを上げる、という感じで使うことができてとても便利です。ビーニーをわざわざ脱いでカバンにしまうのって本当にだるいのでありがたいです。

FreshService の PERTEX QUANTUM AIR MINI RIPSTOP SCARF

FreshService の PERTEX QUANTUM AIR MINI RIPSTOP SCARF

ラストです。こちらも『FreshService』という国内ブランドの製品です。ECサイトで購入しました。

PERTEX® QUANTUM AIR MINI RIPSTOP SCARF – FreshService® official site

こちらも最高なのですが、やはり紹介するのが遅すぎて売り切れてしまいました…ごめんなさい。

PERTEX QUANTUMという高機能素材(ダウンとか寝袋に使われることを想定したもの)が使われたマフラーで、めちゃくちゃ軽くて保温性が高いです。

IN ULTRALIGHT, PACKABLE DOWN JACKETS AND SLEEPING BAGS.

pertex.com

デザインもテックな感じで格好良く、デカいので小顔効果も期待できそうです。

以上!

来年もたくさん服を買います。

カルガモコーヒーを忘れない

カルガモコーヒー』という、今年閉店してしまった松戸のコーヒー屋さんは、ガチのマジで良いお店だった! 僕がボケ老人になって忘れてしまう前に、記録に残しておく。

はじめに

今日、暇つぶしに立ち寄った地元のディスク・ユニオンで、久々にアナログ・レコードを買った。

UKのインディー・ロックバンド、Monochrome Set のベスト盤だ。

The Monochrome Set – Volume, Contrast, Brilliance... (Sessions & Singles Vol. 1)

ここ最近、古着にハマってしまって金欠気味で、以前ほどCDやレコードを買えていなかったのだが、「これは絶対に買わなくちゃ」と、即購入した。

なぜなら、このレコードはカルガモコーヒーのレジ奥の棚の、一番目立つ場所に置かれていたからだ。

ディスクユニオンでこのジャケットを手に取ったとき、カルガモコーヒーでの幸せな記憶がじんわりと蘇った。

カルガモコーヒーの思い出

かつて、松戸駅西口にカルガモコーヒーというコーヒー屋があった。2013年に開店したが、今年の3/2に閉店してしまった。

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僕はカルガモコーヒーが大好きだった。コーヒーもチーズケーキも美味しいし、北欧のポップなカップや家具がたくさんあったし、いつも素敵な音楽が流れていた。

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チーズケーキとコーヒー。行くたびに違う柄のカップやお皿が出てきて嬉しかった。

そして、店内にはアナログレコードやCDが飾られていて、そのアートワークがどれも素晴らしく、僕はこっそりとそれを撮影して、あとから調べて聴いてみたり、買ってみたりした。

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どれも素晴らしい内容で、僕はカルガモコーヒーに、半分はコーヒーを飲むために、そしてもう半分は良い音楽と出会うために通っていた。

店に来るたびに、Shazamを使って流れている曲を調べた。カーディガンズの First Band on the Moon、Special Others の IDOL、ベル・アンド・セバスチャンの Get Me Away From Here, I’m Dying、アップルズインザステレオの Tone Soul Evolution、などなど…カルガモコーヒーで出会った作品は、今でも繰り返し聴いている。中でも、特に大好きな作品が、冒頭に書いたモノクローム・セットのベスト盤だった。

フリッパーズ・ギターカジヒデキなど、渋谷系ムーブメントの代表的なアーティストにも影響を与えた独特のインディー・ギター・ロックは、両アーティストのファンである僕にも当然ぶっ刺さった。

2024年の4月に、モノクローム・セットが来日するということで、迷うことなく観に行った。めちゃくちゃ格好良くて、終盤、小山田圭吾さんが出てきてバカテクギターを披露したりもしていて最高だった。

そして僕はそのことを、カルガモコーヒーのオーナーさんに自慢したくなった。けれど、僕はオーナーさんと話したことがなかった。

オーナーさんは物静かで優しいお兄さんだった。僕は週に一回くらいの頻度でお店へ通っていたが、特に会話という会話は発生せず、それが心地よかった。お陰で僕はすました顔で店内でライトノベルを読んだりして、くつろいだ気持ちで過ごすことができた。(おしゃれなお店でライトノベルを読むな。)

お会計のとき、僕はレジの奥の棚に置かれたベスト盤を指差し、「このお店でモノクローム・セットを知って、この前ライブも観に行きました」と伝えた。

すると、オーナーさんはにっこりと笑った。そして隣にいらした奥様に、「モノクローム・セットが好きなんだって!」と嬉しそうに話してくださった。

少し気恥ずかしかったけれど、僕もすごく嬉しかった。ちなみに、奥様は「そう…」みたいな表情をなさっていた。そんなにモノクローム・セットに興味がなかったのか、あるいは僕に興味がなかったのかもしれない。

その後も、僕がOasisのTシャツを着て店に行くと褒めてくれたり、「そのTシャツ、この前他のお客さんも来てきました!」と教えてくれたりした。当時、僕は周りにインディー・ロックの話をできる友達がおらず(最近は id:fu_jiki とそういう話ができて幸せだ)、カルガモコーヒーに行って、インディー・ロックを聴いたり、お店に飾られているレコードのジャケットを見たりしながらコーヒーを飲んだりする時間がとても幸せだった。

しかし、ある日突然カルガモコーヒーは閉店してしまった。閉店するという報せは、たまたま閉店直前に店を訪れていた id:fu_jiki から聞いた。

半信半疑でお店へ行ってみたら、お会計のとき、本当に閉店するのだとオーナーが教えてくれた。「またお店を出されたりするのですか?」僕は訊いたが、答えはノーだった。

…というのが、僕にとってのカルガモコーヒーの思い出だ。

カルガモコーヒーのここがスゴい!

そんなわけで、僕にとってカルガモコーヒーは、インディーな音楽を聴けるお店、という印象が強かった。

けれど、閉店してから気づいたのは、カルガモコーヒーの門戸の広さというか、包容力というか、あたたかさだ。

というのも、実はカルガモコーヒーにはレコードだけでなく、子供向けの絵本などもディスプレイされていて、客層も僕のような独身のインディー・ロック好きの男性なんていうのは少数派で(というか僕以外に見たことがない)、子連れの方や、主婦の方のほうが多かったのだ。

(僕はそのようなカフェでこそこそ流れている音楽をShazamしたり、ライトノベルを読んだりしていた不審者だったわけだ。殺してくれ。)

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これは実はスゴいことだったんじゃないか、と僕は思った。もちろん、僕の不審な挙動がではない。カルガモコーヒーがスゴかったんじゃないか、ということだ。

というのも、インディー・ロックのような比較的マイノリティな趣味をきちんと表に出しつつ、一方でそういうものに興味がないお客様にもウェルカムなお店、というのは、実は少ないと思うからだ。

極端な例を挙げよう。僕は一度、友達と旅行で静岡の熱海を訪れたとき、ふらりとジャズ喫茶に入ったことがある。当時、僕はジャズ喫茶に興味があったが、行ったことがなかったので良い機会だと思ったのだ。外からは店内の様子がわからず、正直に言って入りづらい様子ではあったが、意を決して入店した。

店内には会話もままならないような爆音でジャズが流れていて、壁中にサックスやトランペットのプレイヤーのポスターが貼られていた。少し待つと、気難しそうな店主が一番奥の席へ案内してくれた。僕たちの他に客はいなかった。

店の隅で縮こまり、苦くて脂っこくてあまり美味しくない(ごめんなさい)コーヒーを啜りながら、気まずい時間を過ごしたことを覚えている。もちろん、これはよく調べずに店に入った僕が悪かった。

こう書くと、そのジャズ喫茶のことをディスっているようだが、僕が言いたいのはそういうことではない。コーヒーがあまり美味しくなかったのはさておき、壁中にポスターが貼られ、爆音でジャズが流れる店内空間は、あくまでジャズに詳しくない僕には合わなかっただけで、きっと同じ趣味のお客様にとっては最高だったはずだ。つまり、「俺の趣味はこうだ!わかってくれるやつだけ来い!」というスタンスのお店だって往々にしてある、というのが僕の言いたいことだ。…やっぱりディスっているみたいになってしまった。

他方、カルガモコーヒーは、僕のような客にも、そうでない地元の老若男女にも愛されるお店だった。それはコーヒーやフードが美味しくて、お店の内装が可愛くて、そして何よりオーナーさんの人柄が素敵だったからだろう。…なんかこう書くとジャズ喫茶の店員さんの人格に問題があるみたいだけれど、まあもういいや。

とにかく、カルガモコーヒーはすごいお店だった。僕はこのお店と、オーナーのお兄さんのことを忘れない。もし、またいつかどこかでお会いすることができたら、素敵な時間を本当にありがとうございました、とまた改めてお礼を伝えたい。

最近読んで良かった恋愛・ラブコメ小説(2025年夏)

吉祥寺の朝比奈くん(中田永一・祥伝社文庫)

2009年最高の青春恋愛ストーリーが誕生! 僕たちは、永遠に残る愛の存在を信じられるのだろうか? 『百瀬、こっちを向いて』で読書界を騒然とさせた中田永一が贈る、これまでにない至高の恋愛小説。

『吉祥寺の朝日奈くん』|本のあらすじ・感想・レビュー - 読書メーター

これ…本当に良かった!!超おすすめです。

主人公の女の子と、その子が恋をしていた異性との交換日記を覗き見する感覚が新鮮な「交換日記はじめました!」や、主人公と当時好きだった男の子との共犯関係が美しい「ラクガキをめぐる冒険」、既婚者にドキドキしちゃう表題作「吉祥寺の朝比奈くん」などなど、いわゆる「直球の青春ラブコメ」からは一捻りか二捻り加えられた作品が収録されていて、読んでいて飽きません。

また、今挙げた作品では共通して、「登場人物がある人を好きだった時期」と、「それから時間が経過して、その人を好きではなくなっている時期」の両方が描かれています。時間経過で人の心が移ろいゆくことの儚さは美しいですが、僕が好きな長編ラブコメのジャンルでは描かれづらい要素なので(付き合う前の期間にフォーカスするため)嬉しかったです。

余談ですが、僕は中田永一(乙一)さんの恋愛小説が大好きで、特に「箱庭図書館」に収録されている「青春絶縁体」や、「百瀬、こっちを向いて」なんかは繰り返し読んだのですが、正直なところ、1つの短編集の中に収録されている作品のうち、心から楽しめたのは1つか2つでした。

(これは僕が男女の恋愛事情にしか興味が持てない味覚障害者で、ストライクゾーンが極端に狭いからです。)

にもかかわらず、「吉祥寺の朝比奈くん」は粒ぞろいで、本当にどの作品も面白かったです!このことからも、この本は強くおすすめしたいです。

三角の距離は限りないゼロ(岬鷺宮・電撃文庫)

一人なのに「二人」な君と誰でもない僕の、トライアングルラブストーリー。

『このライトノベルがすごい!2019』(宝島社 刊)文庫部門 新作3位獲得の、いま一番切なく愛しい三角関係恋物語。 僕と「彼女たち」の不思議で歪な三角関係。その距離はどこまでも限りなく、ゼロに近づいていく――。

人前で「偽りの自分」を演じてしまう僕。そんな僕が恋したのは、どんなときも自分を貫く物静かな転校生、水瀬秋玻だった。けれど、彼女の中にはもう一人――優しくてどこか抜けた少女、水瀬春珂がいた。 一人の中にいる二人……多重人格の「秋玻」と「春珂」。彼女たちの秘密を知るとき、僕らの関係は不思議にねじれて――これは僕と彼女と彼女が紡ぐ、三角関係恋物語。

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これもすごく良かったです。電撃文庫から出ている長編小説で、全9巻で完結しています。 主人公の男の子が、同級生の女の子に恋をするのだけれど、その子は二重人格で、もうひとりの人格と数時間ごとに入れ替わってしまう…という面白い設定です。 タイトルからもわかる通り、主人公、ヒロイン、ヒロインの別人格の三角関係が描かれます。

(以下、かなりガッツリネタバレになるため注意です)

この三者の恋愛模様ですが、中盤では

  • 主人公の男の子 →(好き)→ ヒロイン
  • ヒロイン →(好き)→ 主人公
  • ヒロインの別人格 →(好き)→ 主人公

となります。ヒロインの2つの人格の両方が主人公を好きになる、という嬉しい構図です。

しかも、別人格のヒロインについては、途中「自分(の人格)が消えてしまうかもしれない」とわかり、「消えちゃうなら大胆になっても良いよね?」ということで、主人公へ惜しげなくアプローチする、という展開があります。これはすごい発明だと思いました。彼女は文字通り死ぬ気で主人公を手に入れようとしていたわけですから、今後ラブコメ界において、このヒロインの瞬間最大風速(大胆さの単位)を超えるヒロインを考えるのは大変そうです。

また、その後の展開では、主人公が2人の人格のうちのどちらが好きなのかわからなくなるなど、リアルな恋愛では得られない切なさや苦しさも描かれているのが素敵でした。

シリーズ終盤の展開も、良い意味でフィクションの設定でしか得られないドラマチックさがあり、すごく読み応えがありました。

恋人以上のことを、恋人じゃない君と。(持崎湯葉・ガガガ文庫)

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元カノと夜を共にした。ブラックな仕事に疲れた山瀬冬は、ある日大学時代の彼女・糸と再会し飲みに誘う。愚痴や昔話に花を咲かせ、こういう友達関係もいいなと思っていた矢先、酒の勢いに呑まれてやってしまった。後悔する冬だが、糸は「謝っちゃだめ」と真剣な表情で制す。「ちゃんとしようとか言わないでよ。ただ心地良いから一緒にいようよ」糸も疲れていたのだ、社会が強要する正しさや、大人としての不自由さに。こうして二人は『仕事とか恋とか面倒なことは抜きで、ただ楽しいことだけをする』不思議な関係を結ぶ。社会に疲れたアナタに贈る、癒やしとちょっとエッチな短編連作。

この作品は、「付き合わずにセックスを伴う半同棲状態となり、モラトリアムを楽しむ」1・2巻(前半)と、主人公がふたたびヒロインと交際しようとする3・4巻(後半)に分けることができると思っています。

前半の魅力は、まずゲーム会社で働く主人公が大学時代の恋人に再会する、という設定を、歳や境遇の近い自分(27歳独身男性、職業ソフトウェアエンジニア)が受け入れやすい点にあります。

僕は学園ラブコメが大好きですが、正直もうあの頃の繊細さやプライドや面倒くささやエネルギーはもう持ち合わせていないので、共感して読むのではなく俯瞰して読んでいますが、社会人ラブコメは比較的主人公に共感ができます。また、主人公が自分と近しい環境にいることで、物語への没入感もあります。

そのうえで、ヒロインと前述の通り「特別な関係」になり、えっちなことはもちろん、「ヒロインが本当にやりたい仕事のために転職するのを応援する」「家具を選びにIKEAに行く」などの疑似交際行為をできるのはかなり新鮮で楽しいです。学園ラブコメでは、付き合うまでの期間を引き伸ばして疑似恋愛行為を楽しむわけですが、それのオルタナティブな形態であると僕は感じました。

そして、物語の後半では、当初は「付き合いたいわけではない」というヒロインの意思を尊重していた主人公が、「やっぱり付き合いたい」ということでヒロインに交際を申し込むが…という展開になります。

当然、ヒロインが「付き合いたいわけではない」と主張するのには理由があり、それを解き明かすためのクエストがヒロインから与えられるのですが、それが大学生時代、付き合っていた当時の記憶を巡る旅にもなっていてロマンチックでした。

ところで、ライトノベルの人気ジャンルの一つに「やり直しモノ」というものがあるそうです。「主人公がある形で一度物語のバッドエンドを迎えるが、不思議な力で転生し、前世の記憶を引き継いだ形で物語をやり直す」というものです。

それにはそれの良さがあるのかもしれませんが、一方でこの作品では「転生してもう一度やり直す」なんていう都合の良いことは起こりません。主人公がヒロインに言ってしまったこと、取ってしまった行動は二度となかったことにならないし、その結果招かれた失恋という結果も書き換えられません。

そうした過去を受け入れ、どうすれば今の自分たちはやり直せるのか?という、リアリティのある命題が作品の最後に待ち受けていたことが、僕はすごく嬉しかったです。彼ら彼女らも現実の世界に存在していて、今も東京のどこかで生活しているのではないか、と思わせてくれるような読後感がありました。

それと、このシリーズはとてもえっちです。なので、おすすめです。

今さらですが、幼なじみを好きになってしまいました(丸戸史明・電撃文庫)

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最も近くて最も遠い、周回遅れの恋を始めます。

タ~君とは10年来の幼なじみ。気持ちは近づきすぎてて、距離感は見誤りそうもないほどに近くて寄り添っていて、そして変に交わらない、絶妙な幼友達の関係……って、そんなわけあるかぁぁぁぁ~!! 彼の部屋でさりげなく背中を密着させたり、登校時間を合わせて思いがけぬ邂逅を装ったりしてるのに、ずっと一緒だったから感覚が麻痺しちゃって、どんなアプローチも空回り! もうどうすればいいの!? あ、でも、誰にも告られてないって言ってた。ってことは、まだ望みはあるよね? タ~君と、恋人になれるよね……? 白坂陽花梨、16歳……。今さらですが、幼なじみを好きになってしまいました。

まずはじめに。もし、この作品を知らない、あるいは「たまにXのTLでよむ先生の漫画が流れてくるけれどちゃんと読んだことがない」という方は、noteで漫画版を読まずに、先にこちらのライトノベルを読むことを強くおすすめします。 というのも、漫画版はお話がだいぶ進んでいて、note で過去の記事一覧を表示すると、サムネイルにかなり致命的なネタバレが含まれてしまっているので、絶対にやめたほうが良いです。 大切なことなので、それだけ先に書いておきました。

そしてすみません、もうすこし前置きが続きます。作品の内容について話すまえに、必要なのでちょっとメタな話をしておくと、著者の丸戸史明先生は、「WHITE ALBUM 2」のシナリオや、「冴えない彼女の育てかた」などで知られる超大御所のシナリオライター・作家です。

なので、「使い倒されてきた『幼馴染』という設定のもとで、大御所はどうお話をつくるのか」というところが気になるところなのですが、ライトノベル版では第一巻のラストでその方針が明らかになります。 「そうきたか!」という意外な展開であり、まずはそこまで読み進めてほしいな、と思っています。

また、その「方針」が明らかになるまでのシナリオも楽しかったです。 本作は学園ラブコメの設定として「こんなにシンプルで大丈夫か…?」というほどシンプルで、メインの登場人物は主人公の女の子と、幼馴染の男の子、そして主人公が恋愛相談をする女友達3人だけです。 1巻ではいわゆるサブヒロインが登場せず、幼馴染同士のカップリングだけで単行本一巻分のシナリオが書かれていますが、ちゃんとラブコメとして楽しい内容になっていて、僕はこの本の第一章を読んだときに、 SUSURU TV で取り上げられた具のないラーメンのことを思い出しました。

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必要最低限の要素でうまいものを出してくれる店、ということですね。

その要因はいくつかあると思うのですが、1つは主人公の女の子のモノローグでしょうか。

学園ラブコメでは一般的に男の子が主人公になることが多いですが、本作ではヒロインの一人称視点で物語が進行するため、主人公への思いの丈や、それに反して期待通りに行動できないことへの葛藤がとても可愛く描かれていて嬉しいです。

他にも、第一章「ちっぽけで適当な大きなきっかけ」では、主人公が父親に対してあることで素直になれない描写があり、それが思春期の女の子らしさを強く演出していてグッと来ましたし、第四章「滑りっぱなしのファーストデート」では、「幼馴染をデートに誘うならどこか正解なのか」の丸戸さん流の回答に膝を打ったりもして、すごく楽しめました。

以上!!

最後まで読んでくださりありがとうございます! おすすめの恋愛小説があれば本当に教えてほしいです。ラブコメに飢えています。