オウム真理教関連の資料で興味深かったもの

tl; dr

  • 今年度、研究が暇だった時期はなぜかオウム真理教関連の資料を読み漁っていました
    • 特に興味深かったものを共有できればと思います

はじめに

この記事を書こうと思ったのはすごく偶然で、このツイートがタイムラインに流れてきたからです。

ところで、このツイートを含めて地下鉄サリン事件を「テロ事件」とする報道は主観ですが極めて多いように思います。地下鉄サリン事件は私が産まれる前に起きた事件ですが、私もそう思っておりました。しかし、森達也氏の「A3(上下巻)」においてこの状況は疑問視されています。趣旨としては、「テロリズムの定義とは、『広く恐怖又は不安を抱かせることによりその目的を達成することを意図して行われる政治上その他の主義主張に基づく暴力主義的破壊活動*1』であるが、地下鉄サリン事件についてはその意図が裁判等を通して明らかになっていない」ということでした。詳しくはぜひA3を読んでいただきたいのですが、すさまじく凄惨な事件であったにもかかわらず、その発生に至るまでの指示者、実行犯らの心理的ダイナミクス等をほぼ全くといってよいほど科学できていないまま、彼らの死刑執行が執り行われたと考えられます。このことから、今後あのような事件を防ぐために司法、警察、公安、国家がとるべき対策が、十分に研究されていないのではないかという懸念につながりかねません。

ただし、オウム真理教が直接引き起こした一連の事件をもってしても、その後一切の対策が取られていないというわけではありません。司法の観点からは、地下鉄サリン事件後「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」(オウム新法)が成立しました(破防法を適用しようとしたが、当時既に教団が半壊滅状態にあり適用されなかったという経緯があります)。公安警察はこの法の下で、2020年に至るまで毎年オウム真理教から派生した宗教団体の施設への立入検査を実施しています*2。この立入検査は、外部の研究機関からも化学兵器の製造・保管に対して有用であると指摘されています*3。例として、当時教団の山梨県上九一色村サティアンに警察の強制捜査が実施される可能性があるという情報を教団側がキャッチし、過去に製造し保管されていたサリンを水で分解した事実があったことを教団幹部らが証言しています*4。しかしながら、オウム新法も公安警察による立入検査も、過去に無差別大量殺人行為を行った団体にのみ適用であるため、「今後、地下鉄サリン事件のような無差別大量殺人を引き起こしかねない団体やその危険性をなる早で察知して、団体の権利を尊重しながら国民の安全を出来る限り保証する仕組み」のようなものは現在私の知る限りで存在しません。そして、麻原および地下鉄サリン事件の実行犯らは既に全員死刑が執行されましたので、そのような仕組みをつくるために必要な研究の機会が失われたとすら考えることが可能ではないでしょうか。

同じ地下鉄サリン事件に関連した十分に科学できていないこととして、被害者の後遺症があります。先日の朝日新聞朝刊*5では、3月20日に公開予定のドキュメンタリー映画「AGANAI 地下鉄サリン事件と私」の公開に際して社会面に記事が出ており、その中に以下のセクションがありました。

サリン後遺症、全体像なお不明 映画には、サリンの後遺症に苦しむ被害者の存在を訴える思いも込められている。だが、後遺症をめぐる公的な追跡調査はなく、人数など全体像は不明だ。 被害者の健康状態を毎年調査するNPO法人リカバリー・サポート・センター」(東京)によると、アンケートに回答した被害者283人のうち、半数以上が「目が疲れやすい」と訴えている。「ゆううつな気分になる」「眠れない」などとする人も25%を超えた。 国は被害者や遺族に給付金を交付したが、治療を主とした継続的な経済支援はない。後継団体から賠償金の回収を続ける「オウム真理教犯罪被害者支援機構」の副理事長・中村裕二弁護士は、国による追跡調査の必要性を指摘し「原爆被爆者と同じように医療費を国が負担すべきだ」とした。

「後遺症をめぐる公的な追跡調査はなく、人数など全体像は不明」、あまりに衝撃的なのでもう一度引用したいのですが、「後遺症をめぐる公的な追跡調査」が26年が経過しようとしている今に至るまでに一度もないのです。無論国内外の研究者らによる質的調査(インタビュー調査など)が行われているとは思いますし、著名なものですと村上春樹氏の「アンダーグラウンド」があります(後述します)。しかし、そうした研究を引用するにしても、被害者へなるべく漏れなく、そして十分な保証をするために公的な追跡調査が必要であることは自明です。それが過去一度も取り行われていないのです。

地下鉄サリン事件1つをとってもわかるように、「オウム真理教」について明らかになっていることはあまりにも少なく、そしてその少ない部分すら我々は知らず、そして私自信もそうでしたが、特に若年層がオウム真理教を単なる「かつて存在した奇怪な集団」として認識している(私の場合は「していた」)のではないかと考えられます。私はこの意識から、はじめのセクションで書いた通り、この一年間研究が暇だった時期はオウム真理教関連の資料を読み漁っていました。たかが大学生(しかも門外漢、社会科学などの分野でオウム真理教を題材に研究しているわけでもありません)がたかが一年程度に片手間で収集できる情報は限られていますが、これを共有することで、少しでも事実が多くの人に共有されたら良いなと考えています。また、誤解を招く表現であることを承知の上で使いますが、オウム真理教関連の読み物は基本的に私にとっては「面白い」ものが多いです。通勤・通学で読む本や旅行中に読む本を選ぶ際に、選択肢としてオウム真理教の関連書籍が入るようになったら良いなと思います。

最後に、地下鉄サリン事件で亡くなられた方のご冥福を心よりお祈りいたします。

書籍

村上春樹アンダーグラウンド

bookclub.kodansha.co.jp

「はじめに」のセクションで、地下鉄サリン事件について「後遺症をめぐる公的な追跡調査」が存在しないという朝日新聞の記事を引用しましたが、村上春樹氏は追跡調査でこそないものの、地下鉄サリン事件の現場に居合わせた人々に対し、大規模かつ丁寧なインタビュー調査を実施しました。精神科学者や医師へのインタビューも収録されていて、このような表現を門外漢の餓鬼である分際で私が使うことははばかられるのですが、少し編集すれば社会科学分野で雑誌論文が書けるのはないかというクオリティだと感じました。700ページ以上ありますが大変参考になります。

村上春樹「約束された場所で(underground2)」

books.bunshun.jp

アンダーグラウンド」は地下鉄サリン事件被害者に対するインタビュー調査をまとめたものでしたが、こちらは教団関係者らに対するインタビュー調査がまとめられたものです(地下鉄サリン事件実行犯らに対するインタビューではありません)。ページ数が少なく「アンダーグラウンド」より比較的読みやすい上、「アンダーグラウンド」では事件被害者のストーリーである都合上どうしても重複している箇所が多い印象を受けてしまうのですが*6、こちらの作品は「教団関係者ら」というくくりなのでインタビュー内容などに重複している箇所は比較的少なく感じました。教団のシステムや信者らに共通してあるようにみえる考え方を調べる上で大変参考になります。

高橋英利「オウムからの帰還」(未読)

www.soshisha.com

こちらの本は読んでいないのですが、「約束された場所で」においてインタビュー対象となっている高橋英利氏が自ら教団での体験等をまとめられたドキュメンタリーのようです。「約束された場所で」において、興味深い内容なのでぜひ読んでみてほしいといった旨が(著者の意見として)書かれていたため、読んでみたいと思っています。

森達也「A3(上下巻)」

www.shueisha-int.co.jp

テレビ番組制作会社を経て独立し、ドキュメンタリー映画『A』の制作のためにオウム真理教と行動をともにしてカメラを回し続けた森達也氏が書かれた本です。「はじめに」のセクションでも引用しましたが、主に教団関連事件の裁判がどのように進められていったのかや、森達也氏が東京拘置所へ足を運び教団幹部らへ実施したインタビューの内容についてなどを中心に、森達也氏の視点からリアルな時系列で描かれた作品です(描かれたドキュメンタリーです、と書きそうになりましたが、ドキュメンタリー作品ではないと思っています)。

後述のA, A2の後に鑑賞されると良いかと思われます。

映画

森達也「A」、「A2」

「A」は私が最も衝撃を受けたオウム真理教関連資料の1つです。異常な量の情報量がつまったドキュメンタリー映画です。主に当時のオウム真理教広報部所属の信者・荒木浩氏を中心に教団施設の内部などでカメラを回し続けて記録された映像から構成されています。マスメディアが我々世代に積極的に報道しているようだった情報は、主に「教団」の狂気でしたが(例えばイニシエーションの内容や、出家信者の食事の内容など)、Aではそれだけでなく、当時の「日本社会」側の狂気も記録されています。それはマスコミの狂気であり、警察の狂気であり、公安の狂気であり、市民の狂気でした。

「A2」ではオウム真理教破防法が適用されようとするところから記録が始まります(前述の通り、オウム真理教破防法は適用されませんでした)。この作品もやはり「こちら側」の狂気が伝わる作品になっており、むしろ「A」と比較して教団の規模が縮小しているため、市民やメディアの狂気のほうが鮮烈に伝わってくるように個人的には感じました。

「 AGANAI 地下鉄サリン事件と私」(未公開・未視聴)

www.aganai.net

今日、3/20公開の映画です。現時点では渋谷のシアター・イメージフォーラムで公開されているようです。

地下鉄サリン事件の被害者である映画監督さかはらあつしが、宗教団体Aleph(アレフ)として今なお活動を続けるオウム真理教の広報部長に迫ったドキュメンタリー。1995年3月20日オウム真理教の幹部たちが東京都心を走る地下鉄3路線の5車両に猛毒のサリンを一斉散布した地下鉄サリン事件。当時通勤途中で被害にあい、PTSDと神経への後遺症を抱えるさかはら監督は考え抜いた末、事件やオウム真理教と向き合うことを決意。事件から約20年の時を経て、オウム真理教の後続団体であるAlephの広報部長・荒木浩と対峙する。所縁の地を訪ねる旅の中で、さかはら監督は荒木と対話を繰り返し、友人を諭すように接しながら彼の心の内に迫ろうとする。

森達也氏の「A」で最も長い時間撮影されていたであろう、オウム真理教広報部の荒木浩氏(現在はAlephの広報部長)が、地下鉄サリン事件の被害者で、PTSDと神経への後遺症を抱えるさかはら監督によるドキュメンタリー映画の制作に応じて完成した作品だそうです。「A」で被写体となっていた荒木氏はおそらく当時20代前半で、青年という印象を受けましたが、事件から25年以上経過していることもありその印象と大きく異なる荒木氏がキービジュアルに映っています。「教団関係者と地下鉄サリン事件被害者が二人で旅のようなことをする」ということが成立した事自体がまず驚きですし、そこでどのようなコミュニケーションが発生して、どのように映画作品として落とし込まれたのか非常に強い興味があります。


(3/23追記)

3/22、シアター・イメージフォーラムで鑑賞しました。 公開中の映画ですので、作品の具体的な内容を細かく書くことはなるべく避けますが、まず単刀直入に申し上げて大変素晴らしい作品だと考えています。PTSDおよび神経の後遺症(作中でもその過酷さが伺えるシーンがあります)と戦いながら、半生をかけてこの映画を制作したであろう監督のさかはらあつし氏も、「A」「A2」から引き続き、10代から現在に至るまで、教団の広報部長として自分の信仰と教団が犯した罪との間で葛藤する(簡単に書きましたが、葛藤の具体的な内容はそれほど単純な構造でないことが作品を鑑賞するとわかります)荒木氏も、どちらも痛いほどに誠実で、真剣な生き方を見せつけられました。

ただし、この作品は森達也氏の「A」「A2」を鑑賞後に観るべき作品ではないかと思います。荒木氏の考え方や態度が、当時とAGANAI撮影時(2015年3月とのことです*7)ではかなり大きく変わっていることがわかります。AGANAIのラストシーンを客観的に観たとき、これは完全な主観ですが、おそらく多くの人が荒木氏に対して憤りに近いものを感じるのではないかと思います(未鑑賞の方にはなんのこっちゃという状況かと思います、申し訳ないです)。しかし、荒木氏はそれでも「A2」当時よりずっと誠実で、正面から事件や教団と向き合っている様子が描かれていると私は感じました。具体的な例として、これは映画のティーザーにもあるシーンですので言ってしまいますが、荒木氏はさかはら氏のご両親と対峙します。ここでのやり取りは、「A2」で荒木氏らオウム真理教広報部が松本サリン事件の被害者である河野義行氏の自宅を訪れ面会した際のやり取りと比べて、「あること」をするかしないかで圧倒的な違いがありました。私はこのシーンだけとってみても、この映画のチケット代分の価値を感じました。

割愛しますが、ほかにも見どころはたくさんありますので、ぜひご覧になってください。

ビデオ(動画)

オウム真理教のビデオ資料というと、私世代ですと当時教団の「MAT(Manga and Anime Team)」が制作していたオリジナルアニメ「超越世界」が思い浮かぶ方もいらっしゃるのではないでしょうか。ちなみに、「約束された場所で」ではこのアニメの制作に関わっていたと思われる人物へのインタビューの内容も掲載されています。

www.youtube.com

この資料はこれはこれで当時の教団の教義(の中でも特に対外的にアピールしたかった箇所)の参考にはなるのですが、私個人の意見としてはこの手の資料はいわゆる「色物」であり、こうした資料から伝わるイメージばかりが先行してしまい、教団や教義の本質、教団関連事件などについての情報が正しく十分に伝わらないのではないかと危惧しています。当時、キー局がサティアンを取材した様子や、ロシアから帰国した上祐氏が教団の広報役を任され、報道番組のスタジオに招かれて知識人らと論争を繰り広げる映像なども2020年時点ではYoutubeなどにアップロードされていました。番組によりけりではあるのですが、特に民放ですと(これはオウム真理教というトピックに限った話でも当時に始まった話でもありませんが)どうしても過激な話題や教団の奇天烈な要素を暴こうとばかりする傾向があるように個人的には感じられてしまいます。

そこで、この記事ではあえてそういった動画は紹介せず、「ニュートラルな立場を前提としており、教団や教義の本質、教団関連事件についての情報を正しく伝えたり、議論によって理解を深めたりすることを目的として公開されているであろう動画」を中心に紹介することにしました。

日本記者クラブ主催の勉強会動画

地下鉄サリン事件20年」①オウムの現在とカルトからの脱出

情報の公開と検証が必要 いまからでも遅くはない 伊藤 正志 (毎日新聞論説委員

オウム真理教による地下鉄サリン事件から20年。カルト問題の視点から3氏が事件を語った。

信者に命を狙われた滝本氏は、麻原彰晃という特異な教祖による宗教殺人だったと事件を分析した。絶対的服従のシステムの下、「教祖以外は良いことをするつもりで殺人を実行していた」と、破壊的カルトの実態を総括した。

死刑囚を含むオウム被告10人と面接し、鑑定書を書いてきた西田氏は「信者を事件に駆り立てたのは、教祖によるマインド・コントロールだった」と指摘し、こうした心理操作について「世界に広がった。『イスラム国』による残虐なテロを理解する上でも重要な鍵になる」と言及した。

海外のカルト問題に詳しい山口氏は「先進国でも国によってカルト問題へのアプローチは異なるが、日本は取り組みがない」と批判した。

3氏に共通したのは、オウム事件について裁判以外の場で検証する必要性だ。未公開情報を明らかにし、いまからでも解明に着手すべきだとした。

https://www.jnpc.or.jp/archive/conferences/30353/report/

www.youtube.com

宗教学者、作家 島田裕巳氏 「地下鉄サリン事件20年」② 2015.2.26

無自覚なままテロに関わる怖さ 大西 隆 (東京新聞論説室)

オウム真理教とはどういう宗教だったのか。その重要な問いを置き去りにしたまま、地下鉄サリン事件後に教団の解体を急ぎすぎたと振り返る。

カルトといえば「マインドコントロール」という手法が議論になるが、教団が伸長した1980年代には信者は自らの意志、関心から入信している。麻原彰晃死刑囚の説法を読むと、オウムは新しくユニークな宗教として魅力的だったと見る。

ヨガを基にした激しい修行を通して神秘的な体験をすると、それを本物と信じ込み、教団から抜け出せなくなる。やがて道場で生活しながら修行する出家制度ができ、閉鎖的な集団になった。

常軌を逸した修行の激しさから必然的に起きたといえる信者の事故死。表沙汰になれば、教団の発展が阻害される。その隠ぺいが犯罪の原点になったと推察する。秘密を知る信者が脱会しようとした時に初めて殺人を犯し、凶悪化していく。

「テロを起こそうという気持ちがなかった人間が、無自覚なままテロに関わったこと自体が怖いことかもしれない」。誰しも一歩間違えば、道を踏み外す危うさがある。世界の宗教テロの防止に役立てるためにも、オウムの検証は欠かせない。

https://www.jnpc.or.jp/archive/conferences/30488/report/

www.youtube.com

高橋シズヱさん、宇都宮健児弁護士、中村裕二弁護士 「地下鉄サリン事件20年」③ 2015.3.4オウム裁判と司法改革-被害者の立場から

20年前の事件はまだ終わっていない 瀬口 晴義 (企画委員 東京新聞社会部長)

オウム法廷の取材で一番印象に残るのは1996年3月の林郁夫被告(無期懲役が確定、服役中)の第2回公判だ。地下鉄サリン事件の起訴事実を認めた林被告が何度も絶句しながら謝罪の言葉を述べると、傍聴席から嗚咽が漏れた。夫の一正さんが地下鉄霞ケ関駅で殉職した高橋シズヱさんだった。林被告は幼児のように大声で泣いた。

高橋さんが麻原彰晃被告(死刑確定)やその弟子たちの刑事裁判の法廷に連日のように足を運ぶ姿をよくお見掛けした。肉体的にも精神的にも相当にきつかったはずだ。泣き寝入りをしていた犯罪被害者の権利を高めるために、高橋さんは議員立法による犯罪被害者基本法の制定に奔走、国会や永田町に精力的に通い、オウム事件の被害者を救済する特例法も勝ち取った。そんな高橋さんを支えたのが会見に同席した宇都宮健児弁護士と中村裕二弁護士だった。いまも後遺症に悩まされているサリンの被害者は多い。遺族や被害者にとって事件は終わっていないということを再認識した会見だった。

https://www.jnpc.or.jp/archive/conferences/30489/report/

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国連・人権勧告の実現を!第29回学習会

【国連・人権勧告の実現を!第29回学習会】 2018年平成中に執行するという理由で、オウム死刑囚13人が2回に分けて短期間に処刑された。事件の真相は明らかにされたのか、なぜこのような犯罪が起きたのか、オウム関係者は死刑で当たり前なのか。 「オウム処刑と死刑制度を考える」というテーマで、森達也さんに話してもらう。

www.youtube.com

カナリヤの詩が提供する資料(脱会信者らの団体)

オウム真理教の脱会信者らの団体「カナリヤの詩」のサイトには、重要な資料へのリンク集があります。

カナリヤの詩

会員の裁判傍聴記録や被告人らの陳述、元信者らの手記などにアクセスすることができます。紙媒体で発行されたものをスキャンしていただいたもののようですが、当時の会報もpdfファイルとして共有されています。

研究機関の報告

冒頭でも触れましたが、オウム真理教は研究の対象としてここ25年間で頻繁に取り上げられたようで*8、資料も豊富です。「はじめに」のセクションの内容に関連する研究機関(研究者)からの報告は以下の二点です。

*1:警察庁組織令第四十条(国際テロリズム対策課) https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=329CO0000000180

*2:「報道・広報 | 公安調査庁http://www.moj.go.jp/psia/kouan_press_index.html

*3:"オウムに対する警察の追求は明らかに手ぬるかったが、断続的または予測された捜査ですら、同カルトの化学・生物兵器開発を大幅に妨げることになった。効果的な抑止力とはならないかもしれないが、警察の圧力は、生物・化学兵器開発活動をかなり防止することが可能である。" - 「オウム真理教:洞察 ― テロリスト達はいかにして生物・化学兵器を開発したか」、Richardら、2012年12月、Center for a New American Society

*4:"1995年(平成7年、以下断りのない限り同年を指す)1月1日、同日付けの読売新聞が、「上九一色村の教団施設付近からサリン残留物が検出された」と報じた。これを知って、被告人は、村井に対して、サリン、VX、その他教団で生成した生物化学兵器類やその他の薬物及びこれらの関連物質をすべて廃棄するよう指示した。村井は、遠藤に同様の指示をし、遠藤は、同日午前中、土谷に対して、新聞記事のことを説明したうえで同様の指示をした。土谷は、遠藤に対して不信感を抱いていたため、すぐには廃棄作業をしなかった。しかし、村井からも同様の指示を受けたため、同日、クシティガルバ棟内の自分の勉強部屋の中2階にあったサリン、VX、ソマン等及び実験室の冷蔵庫にあったメチルホスホン酸ジフロライド(以下「ジフロ」と言う)、メチルホスホン酸ジクロライド(以下「ジクロ」と言う)等をスーパーハウス内に持ち込み、アルカリ水溶液を使って加水分解する廃棄処分を開始した。" - 「オウム裁判対策協議会/サリン事件の詳細な実態、および事件の謎/サリン事件にまつわる各種資料/麻原彰晃松本智津夫)第一審公判弁論要旨」 http://www.s-a-t.org/sat/sarin/20031030b_ti.html

*5:2021年03月17日、朝刊、3社会

*6:このことに関してはまえがきで著者本人が認識していますが、「アンダーグラウンド」では「それぞれが体験したことをありのまま作品にすることに価値がある」という考え方のもと極力編集されずに掲載されています。また、「同じ被害者ではありつつも、それぞれにそれぞれの人生があったのだ」という姿勢が強く(このことも著者自身がまえがきで認めています)、事件と直接関係のない生い立ちなどについても詳しく書かれており、90年代前半の日本のにおいが伝わってくるというのも面白いです。

*7:https://news.yahoo.co.jp/articles/d17741d1db4d0ece14c620933d068fe4d45e9002

*8:J-Stage(日本の電子ジャーナルプラットフォーム)において、「オウム真理教」というクエリで検索したところ、査読有ありの書誌のヒット数は382件でした。